にゃみかんてっくろぐ

猫か百合を見守る壁になりたい

Raspberry Piでダッシュボードを作る(5) -温度・湿度(センサ)-

f:id:no_clock:20171016214958j:plain

Raspberry Piとミニディスプレイ,各種センサを使ってダッシュボードを作ります.


今回のゴール

  • 室内の温度・湿度を表示する.

センサの調達

Raspberry Pi本体にセンサはありませんが,GPIO(General Purpose Input/Output: 汎用入出力)用のピンが40ピン*1配置されています.このピンを使って,センサ類に電源を供給したり,通信したりすることが可能です.というわけで,センサを調達します.

(余談… これまでソフトウェアにしか縁がなく,センサなどの電子部品を扱うのは難しいと思っていました.が,やってみると案外難しくありませんし,「Raspberry PiでXXをやってみた」系の記事もたくさん見つかります.特に今回は工具不要で刺すだけ繋ぐだけです.心配はいりません!)

材料

(リンクはすべて秋月電子通商にジャンプします)

  • 温湿度センサ: AM2320
  • ブレッドボード: なんでも良い.例えばBB-801
  • ジャンプワイヤ(オス-メス): なんでも良い.例えば秋月C-08933

温湿度センサ 温湿度を測定するためのものです.I2Cという通信方式に対応していて,読み取りが比較的容易です.
ブレッドボード 電子部品の実験用パーツです.たくさん穴が空いていて,一定のルールで電気的に繋がっています.ここに部品やケーブルを繋いで,回路を組み立てます.
ジャンプワイヤ 電子部品どうしを繋ぐケーブルです.今回はRaspberry Piとブレッドボードを繋ぐために使用します.

配線

Raspberry Piの電源を切っておきます.Raspberry Piピン配置図AM2320のデータシート(秋月のページにPDFへのリンクあり)を参照しつつ,配線します.

f:id:no_clock:20171107220443p:plain

f:id:no_clock:20171107213520j:plain

I2C有効化

標準でI2Cが無効になっているため,まずは有効にします.設定はGUI/CUIいずれでも可能です.設定が終わったら,念のため再起動しておきましょう.

参考: 最近の Raspberry Pi で I2C を有効化 - Rabbit Note

読み取り

温度と湿度を読み取ります.I2Cは,複数の電子部品(デバイス)と通信できるように,「デバイスのアドレス」と「データ」をセットで通信します.データ(バイト列)の内容はデバイスによって様々です.

本当はデータシートをじっくり眺めるべきところですが,幸いAM2320は接続例が多数あります.そうした情報を活用しましょう.

参考: 温湿度センサAM2320をRaspberry Pi 3で使用する|wizqro.net

Pythonの登場

今回はRubyではなくPythonというプログラミング言語が登場します.Python 3系が新しいので,こちらをインストールしましょう.

$ sudo apt-get install python3 python3-smbus
$ python3
(Python 3.x系が起動する.quit()またはCtrl+Dキーで終了)

参考ページのスクリプトをファイルに書き込み,実行してみましょう.

(read_temphumid.pyとして作った場合)
$ python3 read_temphumid.py
59.0
20.8

1行目が湿度,2行目が温度です.読み取れました.

ダッシュボードへの追加

ダッシュボードはRubyスクリプト,温湿度の読み取りはPythonスクリプト

ここはちょっと無理矢理ですが,RubyスクリプトからPythonスクリプトを実行することで,温湿度をダッシュボード上に表示していきます.

先ほどのread_temphumid.pyは,ダッシュボードのapp.rbと同じディレクトリに置いておきます.そして,views/index.erbを編集します.

<div class="card">
  <h4 class="card-header text-white bg-success">温湿度</h4>
  <div class="card-body">
    <%
      data = `python3 read_temphumid.py`.split(/\n/)
      humidity = data[0]
      temperature = data[1]
    %>
    <p class="card-text">
      気温: <%= temperature %>℃<br>
      湿度: <%= humidity %>%
    </p>
  </div>
</div>

ダッシュボードを表示しましょう.温度・湿度が表示されました.

f:id:no_clock:20171107220442p:plain

今回はここまで.

*1:古いモデルは26ピン

Raspberry Piでダッシュボードを作る(4) -天気予報-

f:id:no_clock:20171016214958j:plain

Raspberry Piとミニディスプレイ,各種センサを使ってダッシュボードを作ります.


今回のゴール

  • 天気予報を表示させる.

体調を崩して少し間が空いてしまいました.デザインが出来たところで天気予報を表示させていきます.

livedoor Weather Hacks

livedoorが,Weather Hacksと題して天気予報などのデータを提供しています.商用利用はできませんが,事例のところで九州の方言が楽しめるばい(方言).

ここでは,そのうちのお天気Webサービスを使います.レスポンスがJSON形式で返却されるため,取り扱いが非常に簡単です.

URLやパラメタの確認

URLやパラメタの地域(city)IDについては,お天気Webサービスのページに記述がありますのでよく読みましょう.例えば東京のidは130010です.

http://weather.livedoor.com/forecast/webservice/json/v1?city=130010

f:id:no_clock:20171031222612p:plain

PCのブラウザで開くと,JSONと呼ばれる形式でデータが確認できます.

スマートフォンのブラウザ等ではJSONハイジャック防止のため表示できない場合があります.

irb(Interactive Ruby)でデータを解析

では,ダッシュボードへ表示する準備です.

いきなりダッシュボードに載せる前に,rubyを対話型実行できるirbを使って,データを解析してみましょう.

$ irb
irb(main):001:0>

irbを起動すると,入力待ちの状態になります.1行ごとに入力した内容が実行され,結果が分かるという優れものです(exitで終了します).

irb(main):001:0> require 'uri'
=> true

require 'uri'と入力して実行すると,trueという結果が返却されました.

このままじゃんじゃん入力します.

irb(main):002:0> require 'net/http'
=> true
irb(main):003:0> require 'yaml'
=> true
irb(main):004:0> data = Net::HTTP.get(URI.parse("http://weather.livedoor.com/forecast/webservice/json/v1?city=130010"))
=> "{\"pinpointLocations\":[{\"link\":\"http://weather.livedoor.com/area/forecast/1310100\",\"name\":\"\\u5343\\u4ee3\\u7530\\u533a\"},
(省略)
irb(main):005:0> json = YAML.load(data)
=> {"pinpointLocations"=>[{"link"=>"http://weather.livedoor.com/area/forecast/1310100", "name"=>"千代田区"},
(省略)

お天気WebサービスJSONを解釈するところまで進めました.なんだか読めるモノが出てきたと思います.

引き続きお天気Webサービスの仕様を見ていると,forecastsというプロパティに天気予報が入っていることが分かります.ちょっと見てみます.

irb(main):006:0> json["forecasts"]
=> [{"dateLabel"=>"今日", "telop"=>"曇時々晴", "date"=>"2017-10-31", "temperature"=>{"min"=>nil, "max"=>nil}, "image"=>{"width"=>50, "url"=>"http://weather.livedoor.com/img/icon/9.gif", "title"=>"曇時々晴", "height"=>31}},
(省略)

おっ,天気予報です.dateが日付,telopが予報,temperatureが予想気温(夜に取得したのでその日の予想情報は無い)のようです.

だいたい取得方法がわかったので,ダッシュボードに載せていきましょう.

いざダッシュボードへ

ダッシュボードアプリの views/index.erb を編集します.前回のデザインでカードを4個置いたので,そのうち1個を使いましょう.

          <div class="card">
            <h4 class="card-header">天気予報</h4>
            <div class="card-body">
              <%
                # 天気予報取得処理
                require 'uri'
                require 'net/http'
                require 'yaml'
                data = Net::HTTP.get(URI.parse("http://weather.livedoor.com/forecast/webservice/json/v1?city=130010"))
                json = YAML.load(data)

                # 今日と明日の天気
                today = json["forecasts"][0]["telop"]
                tomorrow = json["forecasts"][1]["telop"]
               %>
              <p class="card-text">
                <strong>今日</strong>: <%= today %><br>
                <strong>明日</strong>: <%= tomorrow %>
              </p>
            </div>
          </div>

補足 erb(embedded Ruby)テンプレートでは,<% ~ %>の間にRubyスクリプトを記述したり,<%= ~ %>の間にページに出力したい変数や式を記述することで,出力内容を柔軟に変えることができます.それ以外の部分は,そのまま出力されます.

すかさず http://localhost:4567/ にアクセスします.天気予報が表示されました.

f:id:no_clock:20171031225409p:plain

もうちょっと,ダッシュボードへ

物足りないのでちょっと表示を良くしましょう.スクリプトの細かい説明は省きます.

          <div class="card">
            <h4 class="card-header">天気予報</h4>
            <div class="card-body">
              <%
                # 天気予報取得処理
                require 'uri'
                require 'net/http'
                require 'yaml'
                data = Net::HTTP.get(URI.parse("http://weather.livedoor.com/forecast/webservice/json/v1?city=130010"))
                json = YAML.load(data)

                # 今日と明日の天気
                today = json["forecasts"][0]["telop"]
                tomorrow = json["forecasts"][1]["telop"]
               %>
              <p class="card-text">
                <% json["forecasts"].each { |forecast| %>
                  <strong><%= forecast["dateLabel"] %></strong>:
                  <%= forecast["telop"] %>
                  <% if forecast["temperature"]["min"] %>
                    <span class="text-info">最低<%= forecast["temperature"]["min"]["celsius"] %>℃</span>
                  <% end %>
                  <% if forecast["temperature"]["max"] %>
                    <span class="text-danger">最高<%= forecast["temperature"]["max"]["celsius"] %>℃</span>
                  <% end %>
                  <br>
                <% } %>
              </p>
            </div>
          </div>

気温も表示されるようになったと思います.

f:id:no_clock:20171031225410p:plain


ページを表示するたびにお天気Webサービスへアクセスするので,更新しすぎに注意しましょう.

今回はここまで.

Raspberry Piでダッシュボードを作る(3) -デザイン-

f:id:no_clock:20171016214958j:plain

Raspberry Piとミニディスプレイ,各種センサを使ってダッシュボードを作ります.


今回のゴール

  • デザインを決める.

デザイン

雰囲気や「それっぽさ」は大事です.真っ白では味気ないので,見栄えをよくしましょう.

ここでもフレームワークが登場します.Bootstrapです.CDNで提供されており,カスタマイズせず使う場合はインストール不要です.

まずは,app.rbに手を入れます.

#!/usr/bin/env ruby

require 'sinatra'
get '/' do
  erb :index  # この行を書き換え
end

前回'こんにちは'とした箇所をerb :indexに変更しました.簡単に言えば『views/index.erbというファイルをERBテンプレートエンジンで表示して』という記述です.もっと詳しく知りたい方は,GitHub: sinatra/sinatra"Views / Templates"セクション,あるいはその日本語訳をご覧ください.

というわけで,viewsディレクトリを作ってviews/index.erbファイルを作成します.

<!DOCTYPE html>
<html lang="ja">
  <head>
    <meta charset="utf-8">
    <title>Dashboard</title>
    <link rel="stylesheet" href="https://maxcdn.bootstrapcdn.com/bootstrap/4.0.0-beta.2/css/bootstrap.min.css" integrity="sha384-PsH8R72JQ3SOdhVi3uxftmaW6Vc51MKb0q5P2rRUpPvrszuE4W1povHYgTpBfshb" crossorigin="anonymous">
    <meta http-equiv="refresh" content="600">
  </head>
  
  <body>
    <div class="container-fluid">
      <div class="row">
        <!-- 左列 -->
        <div class="col">
          <div class="card">
            <h4 class="card-header">タイトル1</h4>
            <div class="card-body">
              <p class="card-text">本文1</p>
            </div>
          </div>
          
          <div class="card">
            <h4 class="card-header text-white bg-success">タイトル2</h4>
            <div class="card-body">
              <p class="card-text">本文2</p>
            </div>
          </div>
        </div>
        
        <!-- 右列 -->
        <div class="col">
          <div class="card">
            <h4 class="card-header text-white bg-danger">タイトル3</h4>
            <div class="card-body">
              <p class="card-text">本文3</p>
            </div>
          </div>
          
          <div class="card text-white bg-dark">
            <h4 class="card-header">タイトル4</h4>
            <div class="card-body">
              <p class="card-text">本文4</p>
            </div>
          </div>
        </div>
      </div>
    </div>
  </body>
</html>

長くなりました.まずは,この状態で表示させてみましょう.

表示してみる

(既にapp.rbを起動済みの場合は,一度Ctrl+Cキーで停止させておく.)
$ ./app.rb

前回と同じく http://localhost:4567/にアクセスします.表示されましたか?

f:id:no_clock:20171021211100p:plain

(黒っぽいデザインにしたいときは…)

  1. Bootswatchから,Darklyテーマのbootstrap.min.cssをダウンロードする.
  2. publicディレクトリを作り,public/bootstrap.min.cssに配置する.
  3. views/index.erbの記述を一部変更して,リフレッシュする.
    <link rel="stylesheet" href="bootstrap.min.css">

f:id:no_clock:20171021211917p:plain

ちょっと説明

さて,index.erbの説明を少しします.コードを見れば分かる,という方は今回はここまでです.

Bootstrapのデザイン

グリッドシステム … Bootstrapでは,横を12等分したGrid systemでデザインします.横2列作ると,12等分されたグリッドが6個ずつ自動で割り当てられます.手動で個数を指定したり,スマートフォンやPCなど画面の大きさによって異なる個数を指定する,といったことも可能です.

カード … Bootstrapにはデザインのための様々なコンポーネントがありますが,ここではCardを使いました.スクリーンショットで色の異なるカードが登場しているように,class属性の指定を変えることで背景・文字色をカスタマイズすることも可能です(Card: Card styles

その他の表示スタイル

更新頻度 … 古典的なmetaタグを使い,ページは600秒(10分)ごとに更新されるようにしています.

全画面表示,キオスクモード … F11キーを押して全画面表示にしましょう.ダッシュボードっぽさが増します.なお,Chromium(Chrome)には「キオスクモード」が用意されており,起動時点から全画面で表示させることも出来ます.気になる方は調べてみてください.


今回はここまで.

Raspberry Piでダッシュボードを作る(2) -真っ白ダッシュボード-

f:id:no_clock:20171016214958j:plain

Raspberry Piとミニディスプレイ,各種センサを使ってダッシュボードを作ります.


今回のゴール

  • 「こんにちは」と表示する真っ白なダッシュボードを作る.

f:id:no_clock:20171018204238j:plain

Webアプリケーションとして作る

準備ばかりでは退屈なので,「こんにちは」と表示するダッシュボードを作って動かしましょう.

ダッシュボードは,スクリプト言語Rubyと軽量フレームワークSinatraを使って,Webアプリケーションとして作っていきます.とても簡単に作ることができます.

rubyインストール

$ sudo apt-get install ruby

以上.簡単です.

あるいは,rbenv*1を使うことも出来ます.ただし,rubyをビルドする時間が長いためあまりおすすめはしません(私はそれでもrbenvを使いましたが).興味があれば Raspberry Pi rbenv などで検索してみてください.

Sinatraインストール

Ruby on Railsが有名どころですが,ダッシュボードにはちょっと豪華すぎます.そこで,Sinatraという軽量なフレームワークを使います.

$ sudo gem install sinatra

インストールはこれだけです.

Rubyは,ライブラリが"gem(ジェム)"という形で用意されていて,パッケージ管理システムRubyGemsで簡単にインストール出来るようになっています.

そのRubyGemsがgemコマンドです.「RubyGemsなんてインストールしてないぞ?」と思うかもしれませんが,rubyパッケージに含まれています.

真っ白ダッシュボードの作成

いよいよ真っ白な「こんにちは」だけのダッシュボードを作ります.

app.rb というファイルを作り,下記のコードを記述します.

#!/usr/bin/env ruby

require 'sinatra'
get '/' do
  'こんにちは'
end

空行を含めてもたった6行ですが,これで準備が整いました.

ダッシュボードの起動と表示

早速起動します.chmodコマンドで実行権限を与え,app.rbを実行します.

$ chmod +x ./app.rb
$ ./app.rb
== Sinatra (v1.4.8) has taken the stage on 4567 for development with backup from Thin
Thin web server (v1.6.4 codename Gob Bluth)
Maximum connections set to 1024
Listening on localhost:4567, CTRL+C to stop

Webサーバが起動して,アクセス待ちの状態になりました(停止するときは Ctrl+C キー).

Raspberry Piでブラウザ(例えばChromium)を起動して, http://localhost:4567/ にアクセスしましょう.

f:id:no_clock:20171018204238j:plain

「こんにちは」が表示されましたか? あっという間にWebサービスが出来上がりました.

※注: app.rb内のメッセージを書き換えても,起動し直さないと反映されません.注意してください.

今回はここまで.次回以降は,デザインを整えて,ダッシュボードの部品を作っていきます.

*1:Rubyバージョン管理システム.最新版の導入やバージョンの使い分けが簡単になる

Raspberry Piでダッシュボードを作る(1) -準備-

f:id:no_clock:20171016214958j:plain

Raspberry Piとミニディスプレイ,各種センサを使ってダッシュボードを作ります.

準備

まずは基本的な準備から始めます.

必要なもの

  • Raspberry Pi 3 Model B (HDMI,USB,LANが使えれば旧モデルでも構いません)
  • HDMI接続のミニディスプレイ
  • インターネット接続
  • センサなどの電子部品 (使うときに紹介します)

ミニディスプレイは何でも良いです.写真ではElecrowの5インチディスプレイを使用し,USB,HDMIともRaspberry Piに繋げています.SPI接続でタッチパネルも使用可能となる仕様ですが,センサ類が繋げなくなるので諦めました.

環境構築

サクサクとGUI環境を整えていきます.

  1. Raspbianをインストール (Download Raspbian for Raspberry Pi)
  2. HDMIでディスプレイ接続
    • ディスプレイによって設定がまちまちですが,Elecrow 5インチディスプレイでは /boot/config.txt に下記を記述することで表示ができました.
hdmi_group=2
hdmi_mode=1
hdmi_mode=87
hdmi_cvt 800 480 60 6 0 0 0

今日はここまで.