にゃみかんてっくろぐ

猫か百合を見守る壁になりたい

SIerから自社サービス系に転職して半年ちょっと経過した

2018年9月にSIerから自社サービス企業に転職した.会社の宣伝ではないので社名は伏せる(たどれば出るが).

退職エントリは書かなかったが,半年ちょっと経ったので考えを整理してみようとポエムにした.

学生時代

小学生でVisual Basic 6.0に触れ,中学生でソフトウェアを公開して自宅サーバも立てていた.今も続いている.

SIer時代

就職活動は熱心に行わなかった.「親を安心させたかった」というもっともらしい理由で大手グループのSIerに入った.

世の中には不気味なSIerのdis記事があふれていて,残念なことに私がかかわった現場の大半もその通りだった.

メモリは4GBで,Eclipseに統合された謎の静的コード解析ツールはファイル保存のたびに1分間フリーズした.3年前の話で,今は違うかもしれない.

なぜそんな闇が残り続けるのかというと,私は「効率化するメリットが(会社に)ないから」と勝手に解釈している.効率化してもお金にならない,そんな不思議な世界だったように思う.

何を得たか

と言っても,無だったわけではない.得たものはあったし,転職して初めて「あの経験役立ってる」と気づくこともあった.

  • 品質意識とバランス感覚.バグが損害に直結する.趣味のモノづくりとは何もかも違う世界で,意識は大きく変わった.また,人的リソースと期間が限られているなかで,どうバランスを取るか,という点は常にトライ&エラーで工夫していた.
  • OJTトレーナーやレビュア経験.コミュニケーション面で,どうすれば相手に伝わるのかひたすら苦心した.技術面(?)では,何をレビューしなくても大丈夫かという勘所(手の抜きどころ)を得たような気がする.
  • 会社はそう簡単には変わらないという感触.会社の技術推進部門に異動させてもらって,「さて,会社全体で技術重視の方向に舵を切ってもらいますか」とイキったが特に何も出来なかった(一番悲しいのはその障壁が部門内にあったことだった).

何を得なかったか

一方,得たいと思っていたものはあまり得られなかったように思う.

  • 技術力.趣味で培った以上のことを何も得なかった.配属直後から「チームで一番技術に詳しいのはお前だから」と言われていた.
  • 顧客が本当に求めるもの.本当に顧客が欲しているものを作っている,という感触は得られなかった.これ以上の言及は控えたい.

なぜ転職しようとしたか

「得なかったもの」の裏返しである.技術力を活かして,顧客が本当に求めるものを作りたかった.

より根底には,3つの事柄が関係している気がする.

  • 小学生の頃から続く「プログラミングって楽しい」とか「プログラミングなら何でも出来る」という感覚
  • 作ったものを誰かに使ってもらったときの「嬉しい」という感情
  • 「やりたいこと」「できること」「求められること」が合致するとベターだという大学の講義で聴いた話

ずっと転職を考えていたが,最後のひと押しは同僚の転職だった.

なぜ転職まで6年強在籍していたか

2点ある.

  • 限界を見たかった.自分が現場や会社をどれだけ変えられるか,一通り試しておきたかった.
  • 漠然とした不安.Web系はSIerよりハードワークなのだろうという偏見と,SIerから転職出来るだろうかという不安があった.

限界を見たという納得感と,SIerに残り続けることの不安にかられ,転職に至った.

なぜ今の会社に決めたか

先に非礼を詫びておく.

情熱プログラマに「一番の下手くそでいよう」という節があるが,これを最も実現できそうだったから,というのが理由である.

言い訳がましいが,このフレーズに甘えるつもりはなく,相応の成果を出すようには努めている.

転職活動の思い出

転職活動は大変だったが楽しかった.面接の技術的な質問は腕試し感覚だったし,何より「サービスを作ってる人が目の前にいる」のがとても眩しかった.

印象的な問答はよく覚えている.

私「今の会社だと,そもそも『理想の開発環境』にこぎつけるまで10年単位で掛かる.待っていられない」
面接官「その『理想の開発環境』というのは具体的には」
私「CIが回っているとかそのレベル」
面接官「えっ(笑)」
私「えっ(笑)」

SIerから自社サービス,で異世界転生モノが書けるのではないだろうか.私は書かないが.

今の会社はどうか

自分のスタイルとの合致度は大きく上がったと思っている.

会社固有のものか,自社サービス系なら当たり前のものか,という区別はついていない.

合っているところ

  • 自由.「成果を出す」という一点が満たせれば,いつ来ていつ帰ってもよいし,技術選定に制限はないし,周辺機器や書籍も手に入る.
  • 技術スタックの分散が大きい.新しい技術に触れやすいし,どの技術も誰かが詳しいので困ったときもなんとかなる.
  • コミュニケーションがいい意味で雑.相互のリスペクトが前提となるが,オブラートや遠慮みたいなところに脳のリソースを割かなくて良い.これはエンジニアに限った話ではない.
  • チームリーダでもコードが書けるSIerだとリーダはリーダ業に徹していたが,現職はメンバの自走力(?)が高くて,リーダリーダする必要はない(そっと背中を押す感覚でいる).メンバと同じく作業していることが多い.

合っていないところ

  • 申請方法どこに載ってんだみたいなことが多い.相手の時間を奪いたくなくて聞くのは避けたい人間なのだけど,結局初回は聞くことになりがち.個人的にちょっと相性が悪い.

そのほかの感想

  • みんなすごい(こなみかん).インターンの学生がめちゃくちゃ成果出したりもする.正直劣等感に苛まれることもあるが,隣の芝生は何とやら,自分は自分なりに成果を出せるポイントを見つけてやっていくしかないのではと感じている.

今何をやっていて,今後どうしたいか

今は,後述する「やりたいこと」に掲げたことをやっている.

今後については,「5年後にXX」といった明確な目標はまったくない.これには,大学生の頃に聴いた 計画的偶発性理論 (Planned Happenstance Theory) に従っている,という背景がある.

ただし,やりたいこととやりたくないことは持つようにしている.内容は変化するとしても,やりたいことが出来て,やりたくないことを極力やらなくていい,そんな場所を今後も漂っていくのだと思う.

やりたいこと

  • コーディング.ソフトウェアアーキテクチャの設計等も含む.何らかの形で「自分が書いたコード」がプロダクトに入っていてほしいと常に思っている.
  • プロダクトの成長.「より多くのユーザにより良いプロダクトを届ける」ことで満たされた気持ちになるような気がしている.これはここ半年で強く思うようになった.
  • プライベートでのサービス開発.既に14年半続けているが,アイデンティティとして昇華させたい.

やりたくないこと

  • マネジメント中心の仕事.人をどうこうする,というのは最も苦手な部分であるし,精神的に疲弊するため.
  • 兼務マルチタスクは疲弊する.

おことわり

これはポエム.一個人の意見に過ぎない.